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建物の普請でもっとも危険とされているのは、”お神楽(かぐら)普請”である。これは、もと平屋の屋根をはずして、その上に二階の全部ないし一部を乗せたものである。
”お神楽”というのは、上に乗せた二階を、祭りのときに氏子たちが肩にかつぐ神輿(みこし)に見立ててつけた名称である。”お神楽普請”は、つまり安普請の代名詞で、決していい意味にはっかわれない。
この普請では、1階と2階は構造的には全く別のつくりになる。そのため、すこし横揺れがきたり、強風にさらされると、ときには文字どおり「く」の字状に曲がることさえある。
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阪神・淡路大震災においても、”お神楽”の2階が1階をひき倒して、挫屈(柱などが折れ、破砕すること)し、道路に転げ落ちているような例も見られた。これは必要に迫られて、簡単に二階を継ぎ足した増築のツケがまわってきた結果とみることもできる。”お神楽”が地震に弱いのは次のような原因がある。
1.1階から二階へ”通し柱”が入っていない
2.もともと平屋の基礎の上に、二階屋を乗せているので、基礎がもたない
3.1階の柱も本来は平屋の屋根を支えるためだけのものであったのに、今度は二階全体の重量が加わってくる
4.新しい家具やピアノなどが、古い一階より新しい二階に置かれることが多い
5.1階に老夫婦が住んで、二階にその子供夫婦や孫たちが暮らすような例もあり、相対的に上階のほうが人が多い
結局1階と2階とが構造的に接合されていず、しかも二階が重くなっているケースが多いのである。
今回の被害では、”お神楽”の家の密集している地域もあり、こういうところでは、家々が連鎖的に倒壊している姿がみられた。また、逆に、家と家がぶつかりあって、かえって助かっているような例もあった。”お神楽”のこわさは、真下に家が落ちてくるというよりも、建物がねじれるように倒れることである。現に、南に面した2階の窓が、90度ねじれて西に向くような格好で、家全体がねじれて壊れているケースも少なくなかった。
さらに”お神楽”ではないが危険な家の形は、2階が居室で、1階が駐車場とか店舗などのように、1階部分に壁や柱が少ない構造である。こうした建物もやはり今回の地震で倒壊した例が多かった。